犬も人間と同様にヘルニアに苦しむ動物です。
特にミニチュアダックスフンドは、他の犬種に比べて10倍以上ヘルニアになり易いと言われています。
また、犬種に限らず、室内犬が増えた現在では、家の中に段差や階段が多いなどという生活環境によっても、身体に負担を掛かりやすくなっています。
椎間板ヘルニアとは
脊椎は、一つ一つの短い骨が連なって形成され、その短い骨と骨の間でクッションの役割をしているのが椎間板です。
椎間板は、そのクッションの外側に相当する繊維輪と、クッションの中身に相当する髄核と呼ばれるゼリー状の組織から構成されます。
この椎間板は、脊椎にかかる圧力を分散してくれるとても重要な器官なのですが、これが様々な原因によって椎間板が破れてしまうと、中の髄核が外に飛び出し、近くにある神経や脊髄を圧迫してしまうことがあります。
この現象を椎間板ヘルニアといいます。
背骨の間のクッションがずれて脊椎を圧迫してしまう椎間板ヘルニアは、多く腰の異変の原因となる病気です。
椎間板は、首から腰に至る全ての背骨に挟まっているので、これらの症状は頚部、胸部、腰部のどこにでも発症してしまう可能性があります。
その中でも、犬の場合は背中から腰にかけて発症するパターンが全体の85%を占め、そのうち第11胸椎から第3腰椎にかけて発症するパターンが75%を占めると言われています。
また、人間と犬の椎間板ヘルニアには大きな違いがあり、犬の椎間板ヘルニアの特徴は「突然発症する」という点があります。
ダックスフンドのような犬の中でも特に背中や腰の病気やケガを持ちやすい犬種は、ちょっとした拍子に突然立てなくなったり、強い痛みを引き起こします。
犬の椎間板ヘルニアは、交通事故での脊髄損傷と似たような病態を示しすので、時には緊急疾患としての治療が必要となります。
椎間板ヘルニアの分類
椎間板ヘルニアの種類は大きく分けて二つあり、中の髄核が完全に飛び出したものを「ハンセンI型」(髄核脱出型)
髄核が繊維輪の中に留まっているものの、椎間板が後方に膨らんだものを「ハンセンII型」(繊維輪突出型)として分けられます。
ハンセンⅠ型
一般的に、軟骨異栄養性犬種が発症する場合が多く、2~7の比較的若い時期に急性に発症することが多いのが特徴です。
線維輪に包まれた中心部にあるゼリー状の髄核は、子犬期にはその90%が水分でできていると言わていますが、軟骨異栄養性犬種では、生後6ヶ月以降から、徐々に髄核の水分が抜けていくため、弾力性が失われ硬くなって縮んでいきます。
これにより、椎間板自体の厚みも薄くなり、衝撃を吸収する能力が低下するため、線維輪のみに圧力が加わるようになり、線維輪が脆くなります。
このような状態の椎間板に強い衝撃や繰り返される負荷が加わると、疲労した線維輪に亀裂が入り、髄核が飛び出して、すぐ上を走っている脊髄や神経根を圧迫して、激しい痛みや神経障害(不全麻痺や完全麻痺)を起こすことになります。
ハンセンⅡ型
ハンセンⅡ型椎間板ヘルニアは、老化に伴う疲労により、線維輪の内層が断裂し、その中に入り込んだ髄核が線維輪を押し上げることで、背側の線維輪が膨らんで脊髄を圧迫するタイプの椎間板ヘルニアです。
主に大型犬種が発症する場合が多く、その多くは成犬~老犬期(8~10歳)に起こり、慢性的経過を辿って徐々に進行することが多いのが特徴です。
ハンセンⅡ型ヘルニアは、線維組織の変性によって最もよく起こりますが、軟骨の変性によっても起こります。
犬の椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアは、人間の場合だと、痺れるような違和感を覚えて診察を受けに行く事が多いです。
しかし、動物の場合は「後ろ足が急に立たなくなった」「歩かない」「触ると痛がる」などの症状が出てから慌てて受診されることが殆どです。
犬の椎間板ヘルニアの診察時の話を聞くと、最近はソファーに飛び乗らなくなっていた、散歩を嫌がっていた、段差を嫌がっていたなど、なんらかの負担が掛かっている初期症状が既に見られていたというケースが多いです。
犬や猫のヘルニアの重症度は
痛みのみ
↓
痛みと軽度の運動障害
↓
反射の消失と運動の中等度障害
↓
自分の意志で排尿も出来なくなり、完全に動かないが痛みは感じる
↓
完全に動かず痛みも感じない
という順番でグレードが上がっていきます。
髄核がどこを刺激するかにより、片側性や両側性など症状の現れ方は様々です。
犬の椎間板ヘルニアや腰の病気を予防する為のポイント
前述の通り、椎間板ヘルニアはなかなか初期では気付きにくい病気なので、日頃から背中や腰に負担を掛けない生活を心掛け、適切な検査をしてあげる事が大切です。
その為には、椎間板ヘルニアによる愛犬の様子の変化をしっておく事が大切です。
椎間板ヘルニアの軽度な症状
・背中を触ると痛がる
・あまり動きたがらない
・段差の昇降が辛くなる
椎間板ヘルニアの重度な症状
・後ろ足をひきずって歩くようになる
・段差の昇降が不可能になる
・横になったまま動けなくなってしまう
愛犬の日頃の仕草を意識する事で、違和感を感じたら適切な対応をしてあげれる事が大切です。
ヘルニアの対策の一つに、負担を軽減する目的として肥満防止が挙げられます。
しかし、ただ単に痩せれば良いと言うわけではありません。
体重の軽い痩せた犬と体重は重いが筋肉質の犬とでは、明らかに後者の犬の方が椎間板ヘルニアなどの病気になりにくいです。
なぜなら体重を支えているのは、背骨自体ではなく、背骨を取り巻く様々な筋肉や靱帯だからです。
椎間板ヘルニアの予防には、体重管理、動作の制限、足裏のケアや床材の見直し、抱き方に気をつけるなど、日頃の生活習慣と環境から見直していくことが重要です。
犬は意外なほど足腰が弱い動物です。
しかし、環境的な誘因については、意識していく事である程度の予防が可能です。
飼い主さんは、日頃の生活環境を見直し、犬の関節に負担を掛けてないかや、怪我の危険性があるかもしれないという事を再度見直す事が大切です。
・フローリングをやめてカーペット等でカバーする
人間には人気のフローリングですが、犬にとっては滑りやすく、足腰の関節にも負担を掛け、怪我のしやすい危険な環境です。
カーペットやじゅうたん、マットなどを敷く事でフローリング部分をカバーし、滑らないようにしましょう。
・家具の配置に気をつける
ソファーやベッド、椅子などから飛び降りた後に、歩き方がおかしくなり病院に連れて行ったなどというのは、小型犬には特に多い話です。
犬は夢中になって走り回っていると案外周りの状況が見えてないことが多く、家具にぶつかったりすることが多いので、犬の行動範囲においては家具の配置を考え、足元には滑らないようにマットなどを敷いたりスロープを設置するなどの対策をしましょう。
同じ理由で、階段の昇り降りをできるだけ避けるようにすることも大事です。
・犬とのお散歩はコンクリートを可能な限り避ける
外での散歩はできるだけコンクリートを避けて柔らかい土の上や芝生を散歩しましょう。
都会ではなかなか難しいかもしれませんが、土の場所や柔らかい場所をなるべく探してポイントを見つけてあげる事が大切です。
それにより筋肉が発達し、関節を守ることに繋がるので、意識してあげるといいです。
関節に必要なサプリメントを取り入れた食生活改善
グルコサミンやコンドロイチンなどの、軟骨部分を形成する成分は、間接的にではありますが、椎間板ヘルニアから来る痛みを抑制する効果が期待できると言われており、ヘルニアの予防を補うことが可能だとされています。
コンドロイチンは、粘液などに含まれているムコ多糖類の一種で、コンドロイチンは体内の水分量をコントロールしたり、骨を形成し、関節や靭帯、腱の弾力性や円滑性を保つ、骨と骨の摩擦を防ぐクッションの役割を果たしています。
肥満による関節への負担は、脱臼や骨折にも繋がっていきます。
食事のバランスと適度な運動をさせる事で、適切な体重を維持できるように心掛けて下さい。
カルシウムやコンドロイチン、グルコサミンなどの関節の健康を維持するのに必要な成分を配合しているサプリメントを利用し、不足しがちな部分を補う事でも、予防に効果的です。
特に、健康な関節の維持にはグルコサミンとコンドロイチンが欠かせません。
グルコサミンとは
グルコサミンは、軟骨の構成成分であるムコ多糖類の一種で、糖に、アンモニアの水素原子を炭化水素基で置き換えた物質であるアミンが結びついた成分です。
グルコサミンはカニやエビなどの甲殻類の外皮に含まれているキチンを加水分解して得られる成分です。
グリコサミノグリカンと総称される分子の主要成分であり、体内の各組織の柔軟性や弾力性に寄与しています。
元々は体内で生成され、軟骨、爪、靭帯、心臓弁などに存在していますが、加齢によって減少していきます。
グルコサミンは定期的に摂取することで、変形性関節症や関節炎などの関節疾患の予防と改善に効果があります。
現在ではサプリメントなどにも配合されており、分子の中に塩酸基があるグルコサミン塩酸塩と、硫酸基があるグルコサミン硫酸塩が使われています。
その効果から、1990年代からはアメリカで、ペットや競走馬などへの関節炎治療としても使われるようになりました。
コンドロイチンとは
コンドロイチンの役割は体内の水分量をコントロールしたり、骨と骨の間の部分である軟骨や関節などにおいて潤滑油の役割を果たします。
また、骨はカルシウムによって生成されていますが、コンドロイチンはこのカルシウムを骨に定着させる働きも持っており、骨に於いても関節に於いても重要な要素です。
コンドロイチンは、納豆やオクラやフカヒレなどの粘り気のある食べ物に多く含まれています。
グルコサミンと同様、コンドロイチンは加齢によって不足していきます。
コンドロイチンが不足してしまうと、関節炎や関節痛の症状を引き起こしてしまいます。
そのほか、関節部分以外にもコンドロイチンは存在し、皮膚や眼球や肝臓などにも多く存在しています。
さらに、コンドロイチンは体の中における水分の量も調節しています。
コンドロイチンが老化などによって固くなってしまっていると、肌に行くはずである栄養分がうまく行き渡ることができず、肌がより老化していきます。
また、コンドロイチンは細胞から排出される老廃物も外に出す役割も果たしています。
コンドロイチンが不足してしまうと身体の中の細胞の代謝が悪くなってしまい、老化を早めることになってしまいます。
コンドロイチンはグルコサミンと同様、年齢が経てば経つほど減少してしまうものですが、軟骨の摩擦などによっても減少してしまいます。
またコンドロイチンで知っておいていただきたいことは、コンドロイチンはサプリメントとして使用される場合もあれば医薬品としても使用されています。
コンドロイチンが医薬品として使用される場合、しっかりと認定をされているため、関節炎などの治療に使用される場合には副作用の報告もなく、効果が保証されています。
サプリメントや医薬品としてではなく、日常生活の食事からもコンドロイチンを摂取することができます。
関節疾患の予防と対策において大切なのは、肥満気味であるなら、まず体重を減らすようにしてあげるのが重要です。
体重が多いと関節に負担がかかり変形や変性が進行しやすいので、適度な運動や食生活の改善による体重管理を行ってあげてください。
関節においてクッションの役目を果たす軟骨は、加齢と共に体内で材料を作る力が低下するため、だんだんすり減ってしまいます。
ですので、グルコサミンやコンドロイチンなどの軟骨の材料となる成分を摂ることが有効です。
しかし、グルコサミンは食品には少ししか含まれていないため、食べ物からだけでは十分な量を摂取することが困難です。そのため、サプリメントで補うことが推奨されています。
グルコサミンは、コンドロイチンと共に摂取する事で、その効果をお互いが高め合ってくれます。ですので、コンドロイチンも含まれたサプリメントを摂取すると、より効果が期待できます。
上記の生活環境の見直しを心掛けながら、カルシウム、グルコサミン、コンドロイチンが配合されたサプリメントを利用し不足分を補い、関節や足腰に過度な負担をかけない生活を心掛ける事が、椎間板ヘルニアや、足腰や関節の病気の対策には必要です。
家庭のいぬねこ医学で、もっと詳しく犬の病気を知ろう!
愛犬が病気になってしまった時、出来る事はすべてやってあげたいというのが飼い主さんの想いです。
犬の病気と犬の身体の事を知って頂き、サプリメントで症状が快方に向かう事を願っております。
rashiku-rashikuのサプリメントは犬の身体に必要な栄養素を満たすために、人間が飲める最高品質で作られています。
動物病院やお客様からも沢山の症例報告もありますので、犬の病気を知って頂き、改善する為にはどんな栄養素が必要なのかをわかりやすく説明していきたいと思います。