犬の低カルシウム血症治療には、生活環境の見直しが大切です

出産後の犬や、ビタミン不足などにより血液中のカルシウム濃度が低下する現象を、低カルシウム血症といいます。


低カルシウム血症は、特に小型犬の出産が原因で起きる事が多く、軽度であれば症状が出ないことも多いですが
重度になると、感覚異常やテタニーといった症状が現れることもあります。


テタニーは血液中のカルシウムやマグネシウムの減少によって生じる痺れや痙攣といった現象です

主に、授乳期に急激にカルシウムを消費した母犬の血液中のカルシウム濃度が不足する事で発症します。


他にも、低カルシウム血症の症状は様々で、意識を失う、いらいら感、筋肉の硬直、異常な筋肉の収縮、耳や顔の部分的な痙攣、呼吸が荒くなる、白内障、食欲不振、嘔吐などがあります。

いずれの症状も、重度である場合はとても危険です。


兆候が見られた場合は、すぐに動物病院へ連れて行き、検査をしてあげましょう。

低カルシウム血症が発症する様々な原因

低カルシウム血症が発症する原因は様々です。

出産や腎不全の他に、マグネシウム血症、急性膵臓炎、腸管からの吸収不良、副甲状腺機能低下症などといった基礎疾患が、低カルシウム血症を引き起こす可能性もあります。


また、大きな原因となるのが、栄養バランスの乱れです。


カルシウムや、カルシウムの吸収を促進するビタミンDの摂取不足の栄養バランスも、低カルシウム血症を引き起こす原因です。


特にビタミンDは、犬と猫の皮膚においては紫外線によって十分な量が生成されませんので、日々食餌から摂取する必要があります。

低カルシウム血症の治療

低カルシウム血症の治療は、原因に他の病気がある場合、その基礎疾患の治療が優先されます。

犬がテタニーを発症している場合は、グルコン酸カルシウムや塩化カルシウムの静脈注射などによる応急治療が行われます。


カルシウムやビタミンDの摂取不足が原因で引き起こされている場合は、栄養状態の改善に努めます。

カルシウム製剤やビタミンDを投与する場合は、反動としての高カルシウム血症やビタミンD過剰症にも注意しなければなりません。


そこで、症状の改善や、栄養バランスを整える為に、ビタミンが含まれたカルシウムサプリメントが重宝されます。


ビタミンDにはカルシウムの吸収を補助する働きがあり、このビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収が阻害されてしまい、血液中のカルシウム濃度の低下に繋がります。

食餌のみによる栄養素で充分な量を摂取するのは難しく、効率良く補う為には、高品質のカルシウムや、ビタミンDを含んだサプリメントを利用した食餌療法が効果的です。


その際、リンとのバランス、高カルシウム血症も含めた過剰症を視野に入れた、消化吸収に優れた水溶性の乳酸カルシウムのサプリメントを選ぶのが好ましいです。

水溶性の乳酸カルシウムは、余剰分は蓄積されずに排泄されるので、過剰摂取障害を避ける事が可能です。


普段の生活環境の見直しを心掛けながら、サプリメントを利用し不足分を補っていく事が、低カルシウム血症の治療にも予防にも於いてもとても重要になります。

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