犬猫の脱臼予防、リハビリに有効な生活環境の見直し

犬や猫にとって、股関節や膝の脱臼はとてもポピュラーな筋骨格系疾患です。

愛犬、愛猫の脱臼の予防やリハビリには、飼い主さんが日頃から様子を気にかけてあげる事と、生活環境や食事での栄養を意識してあげる事が重要です。

そのためには、脱臼についての理解を深め、兆候や症状を見かけたら、適切なケアを行えるよう備える必要があります。

股関節脱臼とは

様々な原因によって後ろ足の付け根の関節が外れ、歩行が障害される股関節脱臼を発症すると、
痛みの為、急に片足を上げたまま地面に下ろすことが出来なくなり、歩く時も、足を上げたり片足を引きずるようになります。


股関節脱臼の主な原因は落下や転倒など、殆どの原因が外傷になります。


外傷以外の場合だと、先天的な股関節の異常が原因が挙げられます

また、遺伝による股関節形成不全や、成長ホルモンや骨を作るホルモンの分泌障害の他、食事の成分により骨が栄養障害が原因になる場合もあります。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨とは、人間でいう膝のお皿の骨です。

膝蓋骨は、大腿骨の滑車溝という窪みの中にはまっていて、それにより膝関節の滑らかな屈伸運動に役立っています。


膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨が滑車溝から外れてしまった状態を言います。

その症状は、重症度によってグレード1〜4の4段階に分類されます。


グレード1：膝蓋骨を手で脱臼させることはできるが、圧迫を解除すると自力で正常な位置に戻る。


グレード2：膝蓋骨を手で脱臼させることはできる or 膝関節を曲げたときに自然に脱臼する。脱臼した膝蓋骨は手で押し戻すか関節を伸ばすまで戻らない。


グレード3：脱臼した膝蓋骨は、関節を伸ばして手で押し戻すまで戻らない。膝関節を曲げたりのばしたりすることで、膝蓋骨が容易に再脱臼する。


グレード4：膝蓋骨が常に脱臼状態にあり、手で押し戻すことができない。膝蓋骨が滑る溝（大腿骨滑車溝）は浅いか欠損している。



グレード1の段階では、時折膝が外れるものの、すぐに自然と正常な状態へと戻り、ほぼ生活に支障はありませんが
グレード4になると、常に膝が外れた状態となり、足を引きずって歩いたり歩行困難な状態になります。


愛犬、愛猫が歩行困難になってしまわないように、飼い主さんは日頃から適切な対応を行い膝蓋骨脱臼を未然に防ぐことが大切です。

関節に負担を掛けない生活環境であるか見直しが必要です

脱臼を始めとした筋骨格系疾患の対策には、日常生活から関節に負担を掛けていないか、怪我の危険性があるかもしれないかと、日頃の生活環境を見直し、改善する事が必要です。



・フローリングをやめる


人間には人気のフローリングですが、ペットにとっては滑りやすく、足の関節に負担を掛ける環境です。

カーペットやじゅうたん、マットなどでフローリング部分をカバーし、滑らないようにしましょう。



・何気ない家具の配置が怪我の原因になる事があります


ソファーやベッド、椅子などから飛び降りた後に、歩き方がおかしくなっていたというのは、小型犬には特に多いケースです。

　 また、犬は夢中になって走り回っていると周りの状況が見えてない事が多く、家具にぶつかる事が多いので、行動範囲の家具の配置を見直し、マットやスロープを設置するなどの対策をしましょう。

同じ理由で、階段の昇り降りをできるだけ避けるようにすることも大切です。



・犬との散歩はアスファルトやコンクリートを可能な限り避ける


外での散歩はできるだけ足元の硬い場所を避けて、柔らかい土の上や芝生を散歩しましょう。

土の場所や柔らかい場所をなるべく探してポイントを見つけてあげる事が大切です。

栄養バランスを見直した食生活の改善も大切です

肥満による関節への負担は、脱臼や骨折にも繋がります。

食生活の見直しと適度な運動を行い、適切な体重を維持できるように心掛けて下さい。


また、関節の健康を維持するのに必要な成分が配合されたサプリメントなどを利用し、不足しがちな栄養を補う事も予防に有効です。

特に、健康な関節の維持にはグルコサミンとコンドロイチンが欠かせません。

グルコサミンとは

グルコサミンは、グリコサミノグリカンと総称される分子の主要成分であり、体内の各組織の柔軟性や弾力性に寄与しています。

グルコサミンは定期的に摂取することで、変形性関節症や関節炎などの関節疾患の予防と改善に効果があります。


その効果から、1990年代からはアメリカで、ペットや競走馬などへの関節炎治療としても使われるようになりました。

コンドロイチンとは

コンドロイチンの役割は骨と骨の間の部分である軟骨や関節などにおいて潤滑油の役割を果たします。

また、骨はカルシウムによって生成されていますが、コンドロイチンはこのカルシウムを骨に定着させる働きも持っており、骨に於いても関節に於いても重要な要素です。


グルコサミンと同様に、コンドロイチンも加齢により不足していきます。

コンドロイチンが不足すると、関節炎や関節痛の症状を引き起こしてしまいます。

脱臼の予防やリハビリには、関節に負担が掛からないよう日々の生活を工夫していく事が大切です

散歩や遊び、運動などの、日常生活においても、関節疾患に繋がる可能性があります。

日常に潜む関節の病気を予防するには、生活環境と食生活の改善が必要です。


床にじゅうたんやお風呂マットを敷くなどして、フローリングの面積を減らし、滑りにくいものにしてあげます。

足の裏の毛が伸びたら滑らないように短くし、足に負担をかけないような生活を工夫してあげましょう。

そして、食事で補いきれない栄養素は、サプリメントで栄養補給してあげてください。


普段の生活環境の見直し、食事にグルコサミン、コンドロイチンが配合されたサプリメントを利用し不足分を補い、関節や足腰に過度な負担をかけない生活を心掛ける事が、脱臼の予防にとても大切な事です。

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