犬猫の行動や仕草に違和感を感じた際の、適切な飼い主さんの対応

犬や猫は、足や腰に異変が起こると、仕草や行動に変化が見られるようになります。

特に腰の異変は徐々に重症になっていく場合が多く、痛がるようになった時には、既に重症になっている事が多いと言われています。


足腰の異変にとって最も重要なのは、症状の早期発見です。

飼い主さんは日頃からペットの歩き方や仕草を気にかけ、行動に違和感を感じたら、病院で検査をしてもらうなどといった、適切な対応を行う事が大切です。

足腰に異変が生じると見られる行動の変化

犬や猫は人間と違い、言葉で不調を訴える事が出来ません。

なので飼い主さん自身が、日頃の仕草から違和感を察知する必要があります。


・ソファーや階段に上れなくなった

・トイレに時間が掛かるようになった

・腰回りを触ると嫌がるようになった

・突然腰が抜けるようになった

・歩く時や動作の中で下半身に異変が見られる


上記のような変化や、散歩を嫌がるようになったり、足を引きずるように歩いていたりするようになった場合は、何らかの異変が起きている可能性がありますので、動物病院に診てもらいましょう

腰の悪化に関わる病気

股関節形成不全


発育異常などによって股関節が正常に形成されなかったり、変形によって骨盤のおわんの部分に大腿骨がぴったりと入らない事で股関節が緩む股関節形成不全も、多く発症する腰の病気の一つです。


股関節形成不全症を発症していると、股関節の軟骨がぶつかり合う時に起こる炎症による痛みで、歩き方に異常が見られるようになります。

また、股関節が緩むことで、後ろ足がふらつくような仕草を見せます。


股関節形成不全は、生後4ヶ月から1年までの間に発症する事が多く、殆どの場合、両方の後ろ足に症状が表れます。

散歩や段差の昇降を嫌がるのは勿論、腰を振って歩いていたり、散歩の途中に座りたがる事が多くなると、股関節形成不全である可能性が考えられます。



椎間板ヘルニア


背骨の間のクッションがずれて脊椎を圧迫してしまう椎間板ヘルニアは、多く腰の異変の原因となる病気です。

加齢や肥満、無理な運動により背骨のクッションがすり減ってしまうこの病気は人間だけではなく、犬にも多い腰の病気になります。

徐々にクッションがすり減ってしまうので、初期症状は軽度なものとなりますが、重度になると動けなくなってしまう危険な病気です。

椎間板ヘルニアは初期では気付きにくい病気なので、日頃から腰に負担を掛けない生活を心掛け、定期的に検査をしてあげる事が大切です。


椎間板ヘルニアの軽度な症状

・背中を触ると痛がる
・あまり動きたがらない
・段差の昇降が辛くなる


椎間板ヘルニアの重度な症状

・後ろ足をひきずって歩くようになる
・段差の昇降が不可能になる
・横になったまま動けなくなってしまう



他にも、神経の感染症、腫瘍、変性症などは、腰の痛みとして症状が現れやすい病気です。

ペットの足腰を守っていく為に飼い主さんが心掛ける事

前述の病気は、いずれも遺伝のような先天性のものが強く影響しているのは事実です。

しかし、それ以外の環境的な誘因については、意識していく事である程度の予防が可能です。


飼い主さんは、「関節や足腰に負担を掛けていないか」、「怪我の可能性はないか」など、ペットの日頃の生活環境を見直してあげる事が大切です。


人間にとって快適な環境が、実は犬や猫にとっては大きく負担を掛けるものとなっている可能性があります。


フローリングをやめてカーペット等でカバーする


人間には人気のフローリングですが、犬にとっては滑りやすく危険です。

また、フローリングは足腰の関節に負担が掛かり、怪我をしやすい環境です。

カーペットやじゅうたん、マットなどを敷く事でフローリング部分をカバーし、滑らないようにしましょう。



・家具の配置に気をつける


ソファーやベッド、椅子などから飛び降りた後に、歩き方がおかしくなり病院に連れて行ったというのは、特に小型犬によく見られるケースです。

特に犬は夢中になって走り回っていると、周りの状況が見えずに家具にぶつかる事が多いので、行動範囲を意識した家具の配置に変え、足元には滑らないようにマットなどを敷いたりスロープを設置するなどの対策をしましょう。

同じ理由で、階段の昇り降りを可能な限り避けるようにすることも大事です。



・犬とのお散歩はコンクリートを避ける


外での散歩はできるだけコンクリートを避けて柔らかい土の上や芝生を散歩しましょう。

土や柔らかい場所を歩く事で、筋肉が発達し、関節を守ることにも繋がります。

生活環境の改善と、食生活の改善も必要不可欠です。

体重増加による関節への負担は、脱臼や骨折にも繋がります、バランスの良い食事とと適度な運動を行い、適切な体重を維持するよう心掛けましょう。


カルシウムやコンドロイチン、グルコサミンなどの関節の健康を維持するのに必要な成分を配合しているサプリメントを利用し、不足しがちな部分を補う事でも、予防に効果的です。

特に、健康な関節の維持にはグルコサミンとコンドロイチンが欠かせません。



グルコサミンとは


グルコサミンは、軟骨の構成成分であるムコ多糖類の一種で、体内の各組織の柔軟性や弾力性に寄与しています。


グルコサミンを定期的に摂取することで、変形性関節症や関節炎などの関節疾患の予防と改善に効果があります。

1990年代からはアメリカで、ペットや競走馬などへの関節炎治療としても使われるようになりました。


現在ではサプリメントなどにも配合されており、分子の中に塩酸基があるグルコサミン塩酸塩と、硫酸基があるグルコサミン硫酸塩が使われています。



コンドロイチンとは


コンドロイチンの役割は、体内の水分量のコントロールや、骨と骨の間の部分である軟骨や関節などにおいて潤滑油の役割を果たします。

また、骨はカルシウムによって生成されていますが、コンドロイチンはこのカルシウムを骨に定着させる働きも持っており、骨に於いても関節に於いても重要な要素です。

コンドロイチンが不足してしまうと、関節炎や関節痛の症状を引き起こしてしまいます。


グルコサミン、コンドロイチン両方に言える特徴が、いずれも加齢や軟骨の摩擦などによって減少してしまう事です。

健康な足腰を維持する為には、日頃の生活環境の改善が重要です

関節疾患の予防と対策には、まず体重管理が第一です。

肥満気味であるなら、まず適切な体重に戻せるよう工夫をしましょう。

体重が多いと関節に負担が掛かり、変形や変性が進行しやすいので、適度な運動や食生活の改善による体重管理を行う必要があります。


そして、関節においてクッションの役目を果たす軟骨は、加齢と共に体内で材料を作る力が低下するため、だんだんすり減ってしまいます。

これら補うには、グルコサミンやコンドロイチンなどの軟骨の材料となる成分を、日々の食事から摂る必要があります。


しかし、グルコサミンは食品には少ししか含まれていないため、食べ物からだけでは十分な量を摂取することが困難です。
そのため、サプリメントで補うことが推奨されています。


グルコサミンは、コンドロイチンと共に摂取する事で、その効果をお互いが高め合ってくれます。ですので、コンドロイチンも含まれたサプリメントを摂取すると、より効果が期待できます。


生活環境の見直しを心掛け、カルシウム、グルコサミン、コンドロイチンが配合されたサプリメントを利用し不足分を補い、関節や足腰に過度な負担をかけない生活を心掛ける事が、足腰や関節の病気の予防にとって大切です。



日々の食事で十分な量を摂取する事が難しいカルシウム、グルコサミン、コンドロイチンといった、骨に必要な栄養素を補うカルシウムサプリメント

家庭のいぬねこ医学で、もっと詳しく犬の病気を知ろう！

愛犬が病気になってしまった時、出来る事はすべてやってあげたいというのが飼い主さんの想いです。

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