ペットの副甲状腺機能亢進症予防に必要なカルシウムバランス調整

副甲状腺機能亢進症とは、喉にある副甲状腺という機能から分泌される副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。

副甲状腺機能亢進症を発症すると、呼吸数や心拍数が上昇し、心臓に負担を掛けてしまい、心不全や過呼吸症の原因ともなる非常に危険な病気です。


特に高齢の猫に発症しやすい病気でもあるため、飼い主さんは発症の原因を把握し、日頃から予防を行っていく事が大切です。

副甲状腺機能亢進症の症状

副甲状腺ホルモンは骨や腸、腎臓に作用しており、副甲状腺ホルモンの分泌に異常が起きていると、生命活動に様々な支障をきたしてしまいます。


副甲状腺機能亢進症を発症をすると、元気がなくなり、食欲が落ちる代わりに水を多く飲むようになるため、尿の量が増えるほか、嘔吐などの消化不良を起こすようになります。

また、症状が進行すると、カルシウム量の減少から骨密度や筋力が低下し、骨折などをしやすくなります。


そして、副甲状腺機能亢進症を発症してしまうと身体がどんどん弱っていくため、他の病気にも掛かりやすくなってしまいます。

副甲状腺機能亢進症の原因

副甲状腺機能亢進症の原因は、大きく3つあり、原発性、腎性、栄養性に分けられます。


原発性とは、病気の出処が副甲状腺自体である事を指し、副甲状腺ホルモンを生成している副甲状腺そのものに腫瘍やガン、傷などの変性が生じると、ホルモンの分泌が過剰となり、カルシウムの代謝に異常が出て、骨や腎臓に影響を引き起こします。



腎性は、腎機能の低下による発症です


腎臓に疾患を抱えている場合、尿中に放出されるカルシウム量が増えたり、ビタミンDの生成が不足気味になることがあります。

その結果、血中のカルシウム濃度が低下し、副甲状腺を刺激して亢進症が起こります。



栄養性はカルシウムの量が少なかったり、カルシウムとリンの摂取量の不均衡や、低カルシウム血症などといった栄養バランスの乱れが副甲状腺を過剰に刺激し、亢進症の引き金となってしまう事による発症です。

日々の食生活での栄養バランスを意識し、副甲状腺機能亢進症を予防する

副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺や腎臓の異常のほか、栄養バランスの乱れによっても発症してしまいます。

副甲状腺や腎臓の異常を事前に予防していく事は難しいですが、栄養バランスの調整は、日々の食生活を意識する事で予防する事が可能です。


愛猫や愛犬の副甲状腺機能亢進症の予防には、飼い主さんが日頃与えている食事の栄養バランスを見直す事が大切です。

具体的には、カルシウムとリンのバランスを調整と、腸管からのカルシウム吸収を促すビタミンDも合わせて補給する事です。

副甲状腺機能亢進症の予防に必要なカルシウムの与え方

カルシウムやビタミンなど栄養バランスの乱れが原因となる副甲状腺機能亢進症ですが、その予防のためにと、日頃の食事で大量のカルシウムを与えていれば良いというわけではありません。


実は、カルシウムは、ただ多く与えているだけでは健康な骨の維持には殆ど役立ちません。


カルシウムを与える上で最も大切なのは、リンやビタミンなどといった他の栄養素とのバランスです

カルシウムとリンの割合は、1：1から2：1くらいを保つ事が理想的と言われています。


カルシウムが不足していて、リンが過剰な状態だと、骨格が病弱になり骨折になりやすくなり、過剰なリンは慢性腎疾患の進行を促進してしまいます。


また、カルシウムが過剰で、リンが不足している場合は、行き場のないカルシウムは内蔵や骨の周りに付着してしまいます。そして一度内蔵に付着したカルシウムは取り除く事ができません。


リンとカルシウムは結合することで機能します。

それぞれのバランスを考慮した上で食事を与え、不足した栄養素を補っていく事が最も大切になります。

カルシウムの効率的な補給にはサプリメントの利用が有効です

ドッグフードやキャットフードのような、予め栄養バランスが整えられたフードや、飼い主さん自身で食材を選び用意する手作り食では、リンとのバランスを意識しながらカルシウムやビタミンを補給する事はとても難しいです。

効率よく日々の食事からカルシウムやビタミンを補っていくには、サプリメントを利用する事をおすすめします。

サプリメントを利用する事で、効率の良い栄養バランスの調整が可能となります。


しかし、様々な種類があるカルシウムサプリメントの中で、一体どれを利用したら良いのかという点も、サプリメントを利用する上での大きな問題となります。

カルシウムサプリメントを利用する上で大切なのは、まず水に溶けやすい水溶性の乳酸カルシウムサプリメントである事と、カルシウムだけではなく、必要なビタミンCやビタミンD、グルコサミンやコンドロイチンなどが含まれたサプリメントを利用する事です。


水に溶けやすい消化吸収に優れた水溶性の乳酸カルシウムであれば、余剰分は蓄積されずに排泄されるため、卵殻や貝殻粉によるカルシウムサプリメントで問題となる過剰摂取の心配を避ける事が可能です。



副甲状腺機能亢進症には疾患特有の症状がなく、発症初期には症状があっても極めて軽微であるため、早期の発見が難しいです。

そのため、愛猫や愛犬の日常の些細な行動の変化も日頃からよく意識し、早期に異変を察知出来るよう気を配る事が大切です。


そして、適切な食生活と生活習慣を心掛け、飼い主さん側で出来るだけ原因を取り除くよう工夫をし、異常を感じたらすぐ獣医さんに相談する事が、副甲状腺機能亢進症の予防にとって大切です。



日々の食事で十分な量を摂取する事が難しいカルシウム、グルコサミン、コンドロイチンといった、骨に必要な栄養素を補うカルシウムサプリメント

家庭のいぬねこ医学で、もっと詳しく犬の病気を知ろう！

愛犬が病気になってしまった時、出来る事はすべてやってあげたいというのが飼い主さんの想いです。

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