犬の肝臓病の治療にアミノ酸サプリメントを用いた食事療法を

肝臓は1500種類以上もの機能を持つ非常に重要な器官です。

生命活動に必要不可欠な、タンパク質の生産や血糖値の調節、血液凝固の調節、炭水化物、 脂肪の代謝、ビタミンCを除くそれ以外のビタミンの生産および蓄積、消化の為の胆汁の生産、有害物質の排除外なども、肝臓のはたらきの一つとなります。


このように、肝臓は非常に多くの多様な機能を実行するので、愛犬がもし肝臓の疾患にかかってしまうと、健康自体に大きな悪影響を与える可能性があります。


また、肝臓は機能的に予備能力が高く、再生能力もとても高い臓器です。

そのため、肝臓は「沈黙の臓器」などと呼ばれることもあります。


そのため、機能に何らかの障害があってもすぐには症状に現れにくく、肝臓に違和感を感じるようになったと思ったら手遅れだったという事も少なくないので、注意が必要です。

肝臓のはたらき

前述の通り、肝臓の働きはとても多く、生命活動に於いていずれも欠かすことの出来ない要素となります。


◆栄養素の取り込み、合成、貯蔵

小腸で吸収したブドウ糖、アミノ酸、脂質などの栄養素は、腸管と肝臓を結ぶ門脈という血管を通り、肝臓に入って行きます。

例えば、肉や魚から摂取したタンパク質は、一旦小腸でアミノ酸まで分解し、門脈から入った肝臓で再び自分の蛋白質へと作り替えて、筋肉、皮膚、血液などの、自分の体を作っていきます。

グルコースなどの糖質も必要以上の量を摂った場合に、グリコーゲンという形に変えて蓄えておき、非常時の為のエネルギーとして蓄えられます。
食事を食べなくても血糖値を維持できるのは、このグリコーゲンを分解し、グルコースを補給しているためなのです。


◆薬物、有害物の分解、解毒

肝臓は、小腸から吸収された毒物、薬物の分解をします。

例えば、蛋白質の分解産物であるアンモニアは、そのままでは神経症状などを引き起こす大変な毒物です。

これを無毒の尿素というものに分解し、尿として体外へと排出します。

アンモニアのほか、お酒などのアルコールも肝臓で分解されて、尿中に排泄されます。お薬などでも肝臓で代謝されて初めて、効果を表すものもあります。


◆血液に関与

血液を凝固させる因子や、赤血球の表面を覆う材料も肝臓で合成します。

破壊された赤血球の残骸（ビリルビン）も、肝臓で取り込まれ胆汁中に排泄されます。


◆消化液の分泌

肝臓で合成されたコレステロールをもとに消化液を作り、胆汁として腸内に分泌します。胆汁は脂肪の消化、吸収に使われます。

肝臓病とは

肝臓病とは、病原菌への感染や中毒によって肝臓の機能が低下し、全身に障害が現れる病気です。

症状としては食欲不振、抑うつ、成長不良、消化器障害、黄疸、腹水、多飲多尿、出血傾向、神経機能障害などがあり、肝臓病時には栄養的な管理が重要になります。


肝臓病の指標としているのは、血液中のＡＬＴ（ＧＰＴ）やＡＳＴ（ＧＯＴ）、ＡＬＫＰ、ＬＤＨ5、などの数値の上昇が見られると「肝臓が悪い」となります。

よく言われる「肝臓の数値が高い」などは、この事を指します。

数字が高いほど、広範囲にやられていたり、より障害が重度だったりします。

犬の肝臓病の早期症状は特徴がなく、とても一般的なものです。

食欲不振や体重減少、慢性嘔吐・下痢の他に、軟便や大量の水を飲むなどの初期症状は、他の健康問題と似ていて適切な診断ができない場合が少なくありません。

適切な診断と治療をもらわなければ、犬の体内の毒素の蓄積のため、、再生しきれなくなった肝細胞が死亡し、線維に置き換わってしまうことがあります。


これを肝硬変といい、肝臓が機能しなくなる状態、すなわち肝機能不全を伴います。

肝硬変はとても重症な病気で、肝機能不全では血液中の蛋白の低下、アンモニアの上昇、非再生性の貧血、重度の削痩、血糖値の低下など、非常に危険な状態になってしまいます。

犬の肝臓病の原因

肝臓病は様々な原因によって引き起こされます。

肝臓病とは肝臓の機能が損なわれた状態のことの総称で、多くの場合、原因を特定することは困難です。

ウイルスなどの感染や長年の負担、他の病気の影響や特定の犬種によく見られる遺伝性のもの、薬物、毒物、腫瘍や外傷なども原因になり得ます。
また様々な原因が複合していることも考えられます。

肝臓病の治療にL型必須アミノ酸サプリメントを用いた食事療法

肝臓の数値が高い原因の一つに、必須アミノ酸の不足があります。

しかし、必須アミノ酸は犬の身体の中で作ることができない栄養素なので、食事によって補う必要があります。


小腸で吸収された栄養素は、門脈から肝臓に入り、そこで代謝が行われ、エネルギーや身体を作る元となります。

しかし、肝臓病を患ってしまうと、その吸収した栄養素が上手に利用する事ができず、どんどん痩せ細っていってしまいます。


これを避けるためには、肝細胞の再生を補助する為のタンパク質が必要になります

タンパク質の最小の単位である、アミノ酸の補給を栄養補助としてサプリメントで補うようにすると、消化が効率良くでき、負担なく栄養摂取ができるようになります。


肝臓病の症状が重くなっていると、タンパク質の代謝時に発生するアンモニアを解毒する事ができず、高アンモニア血症を引き起こす可能性が現れてしまいます。

その際には、タンパク質の量を制限する必要があり、タンパク質のバランスを調節した適切な量を与える事が必要です。


愛犬の肝臓数値が高い原因を解消する方法は、｢BCAA」という分岐鎖アミノ酸が豊富に含まれているサプリメントを与えるようにすると数値減少に効果が期待できます。

（必須アミノ酸、BCAAに関しては、こちらの記事をご参照ください。「L型必須アミノ酸の種類とその働き」）


サプリメントによって与えるタンパク質も、出来る限り肝臓に負担をかけないように、消化性の良い高品質なタンパク質を与えるようにしましょう。

アミノ酸は、タンパク質の最小の単位で、肝臓のエネルギーをとても消費する、消化活動による負担も軽減してくれます。

肝臓の負担をできるだけ減らすように、消化性の良い良質なアミノ酸サプリメントを適切な量使用する事と、肝臓病に対応する為に、食事による栄養素を調節し、ゆっくりと時間をかけて治療をしていく事が大切です。

家庭のいぬねこ医学で、もっと詳しく犬の病気を知ろう！

愛犬が病気になってしまった時、出来る事はすべてやってあげたいというのが飼い主さんの想いです。犬の病気と犬の身体の事を知って頂き、サプリメントで症状が快方に向かう事を願っております。

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動物病院やお客様からも沢山の症例報告もありますので、犬の病気を知って頂き、改善する為にはどんな栄養素が必要なのかをわかりやすく説明していきたいと思います。