犬の体内の分岐鎖アミノ酸不足が胆泥症の原因

胆泥症は、胆嚢の内に胆汁成分が変質し、胆石や、胆泥が出来る病気です。

軽症の段階では無症状である事が多い胆泥症も、実はとても深刻な病気です。

形成された胆泥や胆石が胆管に詰まったり、胆嚢の重度炎症が起きたりする事で重症化します。

そして、最悪の場合、胆泥症で胆管や胆嚢の中にガスが蓄積されて破裂し、

胆管閉塞、胆嚢破裂、腹膜炎、胆嚢炎、胆管肝炎、腫瘍疾患などの命に関わる状態に陥る危険性があります。


また、胆泥症は老犬に発症する事が多いとしても知られています。

胆泥症についての理解を深めた上で、日頃の挙動に注視し、早い内に、対処をしておくことこそが最善策です。

胆泥症とは

肝臓で作られた胆汁は、肝内胆管から集まって胆嚢に一時的に貯蔵されます。

この胆汁が、クッシング症や甲状腺機能低下症などの内分泌異常や、胆嚢炎などによって濃縮して変質し、泥状やゼリー状（胆泥）に変化し、これらが胆嚢に貯留する事で、胆泥症は発症します。


胆嚢は、胆汁を産生し貯留する器官です。胆汁には、脂肪を分解し水に溶けやすいよう乳化させる役割を持っています。

胆嚢炎が起きると胆汁の性状が変化し、胆嚢内でカルシウム成分が結晶化し胆石となったり、ネバネバした泥状になってしまいます。

胆泥症の主な症状

◆緩い便や緑色の液体や未消化物をの嘔吐する

◆食欲不振になり、元気がない

◆お腹を触ると嫌がり、歩かなくなる

◆お腹が膨れている

◆腋の下や腹部に熱がある

◆黄疸耳介の内側や歯肉、眼の白い部分が黄色く変色してしまう

◆血圧が低下し、ぐったりしている


胆泥症が発症すると、以上のような症状が見られます。

胆石の状態にもよりますが、胆泥や胆石が身体に出来たのを発見しただけの状態であれば、症状は目立たずに経過していく事が多く、犬がX線検査や超音波検査などを受けた際に偶然発見されることが多いと言われています。


しかし、胆嚢炎がひどく悪化してしまうと、その状況は一変します。

胆道が胆泥や胆石で塞がれてしまったり、総胆管閉塞症になったりすると、元気が全く無くなってしまい、散歩に行っても歩くことをせず、食欲も無くなり、何度も吐いてしまったり、歩き方がおかくなったり、著しく痩せてしまったりと、身体のあちこちに症状が見られるようになります。

更に重症になり、胆道が閉塞し、胆汁が十二指腸の方へと排出されなくなると黄疸になり、眼や口腔粘膜などの箇所に可視粘膜が黄色くなることが多くなります。

そして、消化不良を起こしたり胆汁色素が著しく低下してしまうために、排泄物が白く濁ってしまいます。

同時に胆嚢自体も腫れあがり、最悪の場合、胆嚢が破裂して腹腔内の物物が荒れてしまうので、臓器としての機能を果たせず、腹膜炎を起こし死んでしまう可能性もあります。

犬の体内の分岐鎖アミノ酸不足が胆泥症の原因

犬の身体の中の分岐鎖アミノ酸が不足していると、胆汁が濃縮されてしまい、胆泥症になってしまいます。

それを解消してくれるのが、必須アミノ酸である、「BCAA」という分岐鎖アミノ酸になります。

「BCAA」は必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の事を指します。


しかし、必須アミノ酸は犬の体内で作ることができません

ですので、食事療法により、外部からサプリメントを利用し補助する必要があります。

胆泥症は血液中のアミノ酸のバランスが崩れてしまうことで発病するので、BCAAを積極的に摂取することにより、血液中のアミノ酸のバランスの不均衡を改善することが可能になります。

サプリメントを用いた食事療法なら、犬の身体への負担も少なく治療していく事が可能です。


胆泥症は決して治療できない病気ではありません。

重い持病を持っていたり、ひどく衰弱しているような事が無ければ、大概の場合は、食事療法を続ける事で完治させることが可能といわれています。

初期の段階だと無症状であるからとはいえ、胆管が閉塞し、急性胆管肝炎や胆嚢破裂によって重篤化するような事態を避ける為にも、早期の発見と、食事治療によって健康状態や生活習慣の管理をしていく事が大事です。

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