犬の健康状態と腸の状態の密接な関係

犬や猫など、他の動物も、人間と同様に歳を重ねると、身体が衰えていき、それによって免疫力も低下し、様々な病気に掛かりやすい身体になってしまいます。

動物にとって、老化は避けることの出来ない現象で、どんな動物でも老化現象は必ず訪れてしまいます。


加齢による免疫力の低下の原因は、身体の消化機能が低下する事と大きな関係があります。

ホルモンバランスの乱れや筋肉の低下、代謝の衰えなど、様々な理由によって、消化機能も低下しやすくなってしまいます。

消化機能が低下すると、食事による栄養が十分に分解・吸収されなくなり、身体に栄養が行き渡らず、身体中が衰えてしまいます。


老化は避ける事が出来ない現象ですが、日々のケアによって老化を遅らせる事は可能です。

飼い主さんは、愛犬の消化機能と免疫力の低下の関係を理解し、適切なケアを愛犬に施してあげるよう心掛ける事が大切です。

免疫力の向上と腸の状態の関係

前述の通り、免疫力と消化機能の状態には大きな関係があります。

つまり、免疫力を向上させるには、消化機能の低下を防ぎ、外から摂り入れる栄養がしっかりと身体に行き届くような身体に整えていく事が大切です。


消化機能の低下を防ぐには、「腸」の免疫力を高める事が重要です。


腸には、免疫細胞の全体の約6～7割もの数が集まっていると言われています。


また、免疫力を高める活性物質は、腸内に棲んでいる乳酸菌の分泌物（ペプチドグリカン）が、腸から吸収され、免疫力を高める活性物質となります。


このように、腸は動物の健康において欠かすことの出来ない器官です。

腸の状態を改善する事が、免疫力の向上と健康な状態を維持する事へと繋がっていきます。

「第二の脳」と呼ばれる腸の精密なはたらき

免疫力の向上と大きく関係のある腸。

その腸の主な働きの流れは、食べ物から栄養素を吸収すると同時に、腸内に入ってきた物を免疫細胞が無害か有害かを判断し、無害なものは受け入れ、有害な場合は免疫細胞が攻撃し、この働きを「腸管免疫」と言います。

この腸管免疫の働きにより、口から侵入する細菌やウィルスを防ぎ、下痢などによって体内に入った有害な病原菌を排除する働きをしています。


そして、この行動をパターンとして記憶する仕組みも腸には備わっています。

これらの精密な判断を自ら考えて行う事から、腸は「第二の脳」と呼ばてれいます。


腸の主なはたらきは、消化、吸収、合成、代謝、解毒、造血、排泄、免疫と、動物の健康の維持に欠かすことが出来ません。


そして、動物の免疫力と大きく関わる物質は腸内細菌です。


腸内細菌とは、腸内に住む色々な細菌類のことで、主に善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種がいます。

犬の免疫力には、この腸内細菌3種類のバランスが大きく関わっています。


善玉菌は、ビフィズス菌などの乳酸菌を代表とする、身体に良い作用をする細菌の事を指します。

日和見菌は直接は身体に作用することはないですが、善玉菌・悪玉菌の様子を見ながら、優勢な方に味方をする菌のことです｡


悪玉菌が増えると不具合が発生してしまいます。
しかし、悪玉菌は不要なのかと言うと、そういうわけではありません。

悪玉菌は腸内に入ってきた食べ物を食べる働きがあり、これが分解したものが善玉菌の栄養になるので、悪玉菌も必要な菌です｡

もし、悪玉菌が悪影響でしかない菌であれば、既に免疫機能が駆逐している事からも、悪玉菌が必用だという事実は明らかです。


悪玉菌は、増えすぎると不具合が出るという意味で付けられた名前であり、大切なのはこれら三種の菌のバランスです。

腸内環境が整っている事と健康の関係性

腸では胆液や腸液によって、胃から送られた食物を消化しています。


栄養素の殆どが腸から吸収される為、腸内環境が整っていると、身体にしっかりと栄養が行き渡り、免疫機能が向上されます。

腸内の大量の腸内細菌が、有害物質や病原菌から守ってくれるようになることによって、病気に強い身体へとなります。


また、添加物は、腸内環境が悪くなる原因の一つで、通常のドッグフードやおやつなどに含まれる添加物は、善玉菌を殺し、悪玉菌を増幅させると言われています。


腸内環境の改善には、まずは基本的な食生活の見直しと、散歩などのストレスの緩和に努める必要があります。

また、淀んだ空気もストレスが溜まりやすいので、室内にいる時は換気も重要です。


腸内環境は、ほんの少しの心掛け次第で、良くも悪くも変化していきます。


犬は、人間と違い不調を外見で判断しづらく、また犬自身から不調を訴える事も出来ないので、気付いた頃には遅かったという事も多々見られます。


そんな物言わぬ犬の体調不良を飼い主さんが察知できる要素に、便があります。

便の調子は消化、腸内環境の様子。つまり、健康状態のバロメーターとなるのです。


愛犬の日々の生活習慣や排泄物をチェックし、違和感を感じたら、腸内環境の改善の為、日常生活を見直していくことが大切です。

腸内環境の改善に効果的な「酵素」と「プロバイオティクス」

腸内環境の見直しには、生活環境の改善と、体内を酵素で満たす事が大切です。

酵素は、食べ物を消化したり身体を動かしたりと、生物が生きていくために欠かせない栄養素で、犬は勿論、人間の夏バテ対策にも、体内に酵素を取り入れるという対策法は重宝されています。



体内の酵素の働きは大きく分けて消化酵素と代謝酵素の二種類があります。


消化酵素とは

消化酵素は、唾液や胃液、胆汁、膵液、小腸液などに存在し、栄養を吸収しやすいように分解する働きを持っています。

食べ物の消化は胃や腸自体ではなく、消化酵素によって行われています。


代謝酵素とは

毎日の活動の源であるエネルギーを作る他、骨や筋肉、血液を作ったり、吸収した栄養素を使う働きを持っています。



整腸において、食べ物の消化を補助する「酵素」と、腸内細菌のバランスを整えるのに必要な「プロバイオティクス」の二つは、とても重要な要素となります。



プロバイオティクスとは


『プロバイオティクス』は、「健康のために」という意味のギリシャ語が由来とされ、動物に利益をもたらす善玉菌を指しています。

腸の活性化に効果があるプロバイオティクスは、乳酸菌・ビフィズス菌・桿菌・酵母などがこれにあたります。


菌を殺して身体を守るアンチバイオティクス（抗生物質）に対し、プロバイオティクスは、身体によい菌を増やすことで健康を守ろうとする考え方から生まれたものです

生きたまま腸まで辿り着き、そこで生成される乳酸などの代謝産物が、生物にとって有益な健康効果をもたらしてくれます。


乳酸によって、腸内が酸性になることで悪玉菌の増殖は抑えられ、有害物質が減少します。腸の機能が活性化され、消化吸収が促進されれば、便秘や下痢の解消・予防にもつながります。

このように自ら増殖して人間や動物を助けてくれるのも、“プロバイオティクス”が“生きている”からこそなのです。

「健康は腸から」です。
腸の状態を整え、免疫力を増強させ、健康な身体を維持していきましょう

酵素は、食べ物の消化、分解や吸収を助ける働きをするほか、自然治癒力を高め、体内の新陳代謝を正常に保つという、生物の生命活動においてとても重要な働きをしています。


プロバイオティクスは、体内に善玉菌を届け、これを繁殖させ、腸内細菌のバランスを保つように作用しています。


これらを体内に取り入れ、腸の環境を整えていく事が、健康な身体を作る上でとても大切です。


しかし、酵素はタンパク質なので、体外からの酵素は、胃酸によって溶かされて分解してしまい、その効力を失ってしまいます。


その為、酵素を直接摂り入れるのではなく、酵母を用いる事が効果が期待できます。
酵母は、酵母菌という生物で、酵母自体が酵素を含んでいます。

胃酸に弱い酵素と違い、酵母は胃酸に強いので、腸の中までしっかりと届き、届いた酵母が身体の中で生命活動を開始し、肥満の原因となる糖分を分解し酵素やアミノ酸が生成されていきます。


腸内が正常でないと、いかに酵素を摂取しても吸収されません。酵母はその酵素を受け入れる土台作りをする働きをしています。


「健康は腸から」です

人間も動物も、食事に含まれた栄養素がスムーズに吸収されることが最も望ましいです。

愛犬の腸内環境を早い段階で察知し、適切な生活習慣の改善と、身体に有用菌と食物酵素と消化酵素を常駐させる事で、栄養の吸収率の良い健康な身体の基盤づくりを準備しておく事が、免疫力の増強に繋がり、健康な身体を作る上でとても大切な事です。

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